屋久島だより vol.3 屋久島の植物が語る、適応と進化の物語
竹本大輔
屋久島には、極端に小さい「ミニチュア植物」がたくさんあります。最近の研究で、その小型化の原因がシカの食べる圧力(採食圧)によるものだとわかりました。この法則は、シカが特に好んで食べる植物にのみ当てはまり、つまり、これらの植物はシカに食べられないように小さく進化したのです。
通常、植物が小型化するのは、土地の栄養が少ないことや寒さ、日照不足などが原因ですが、シカの採食圧によって80種類もの植物が一斉に小型化した例は、世界でも他にありません。さらに、植物の進化には10万年単位の時間がかかるのが普通ですが、この80種類の植物は、わずか3万年という短期間で進化を遂げていました。
シカに食べられないように、自分の姿を変えて生き残ろうとした植物たち。その姿は、環境の変化に適応できたものだけが生き残るという自然の法則を示しています。そして、それは人間の成長や、チーム・組織の成功にも通じる話です。厳しい環境だからこそ、新しい力が生まれ、進化が加速するのかもしれません。
屋久島の小さな植物たちを見ると、環境に合わせて変化することの大切さを感じます。